食品成分有効性評価及び健康影響評価プロジェクト解説集
2004/03/25

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ウコンについて

永田 純一 (国立健康・栄養研究所 食品機能研究部)


ウコンについて

 ウコンは、高温多湿を好み、南アジアを中心に、アジア、アフリカ、中南米の各大陸の熱帯から亜熱帯にかけて広く分布するショウガ科の多年草植物です。ウコンの原産地は東インド地方と考えられており、紀元前970年頃には、ウコンの栽培が始まっていたと言われています。
 現在の日本におけるウコンの主な産地は沖縄ですが、その歴史は平安時代に中国から琉球へウコンが伝わった時に遡ります。室町時代には、広い地域へと広まっていきました。江戸時代には幕府が創設した薬園で栽培され、その後、急速に庶民の生活にまで普及していくこととなりました。
 古くからウコンの塊根あるいは根茎は、食品あるいは香辛料、衣服の染料や生薬として利用されており、食と医薬の関係が深い植物といえます。実際には、根茎を乾燥し粉砕したものを食したり、根茎を薄く切って乾燥したものをお茶として飲用します。
現在、国内における薬系および食品系のいわゆる健康食品販売実績において、ウコンは常に上位に位置する代表的な健康食品となっています(表-1)。

 ウコンの仲間は世界中で50種類ほど認められています。そのうち日本産で我々日本人になじみが深いものが、春にピンクの花を咲かせる春ウコン(キョウオウ、Curcuma aromatica Salisb)、秋に白い花の咲く秋ウコン(ウコン、Curcuma longa L.)、ガジュツ(紫ウコン、Curcuma zedoaria Roscoe)の3つです。 ウコンには、宇金、郁金、欝金、鬱金などがあてられ、ウッチン、ウッキン、ウキャン、姜黄(漢名)などの呼び方もあります。ウコンの根は円柱形や紡錘形をしており切断面は黄色を呈しています(図-1)。味は苦くて辛く、太くて黄色味の強いものが良品とされています。 沖縄では昔から、クルクミンを多く含む秋ウコンは肝臓の妙薬とされ、弱った肝臓の働きを回復させる生薬として珍重されています。

図-1

 ウコンの成分は染料・着色料としても用いられ、代表的なところではカレー粉を黄色く見せている成分であるクルクミン(=ターメリック)をはじめとしてクルクメン、シネオール、アズレンあるいはカンファーなど多くの成分が含まれていることが分かっています(1)。
これらは、肝機能強化(クルクミン)、抗がん作用の活性、尿道結石・動脈硬化に有効(α-クルクメン)、利胆作用、健胃・殺菌・防腐効果(シネオール)、炎症や潰瘍を治す作用(アズレン)、強心作用(カンファー)などに有効と考えられています。 その中でも特にクルクミンは代表的な有効成分と考えられています。クルクミンは、官能基の異なるクルクミノイドの1種(図-2)であり、秋ウコンには、クルクミンが約3〜4%含まれています。しかし春ウコン、紫ウコンにはクルクミンほとんど含まれておらず、テルペン系精油分がそれぞれ約6%および1〜1.5%含まれており、春ウコン、紫ウコンの健胃あるいは血圧低下作用はこれらテルペン系精油成分により発揮されると考えられています(2,3)。 特に、クルクミンは胆汁の分泌を活発にすることによって肝細胞を刺激し、肝機能の改善あるいは維持に寄与し、最大の代謝性臓器である肝臓全体の働きを良好に維持するものと考えられています。



図-2

 ウコンの安全性に関する情報は、急性毒性試験がラット、モルモットおよびサルに関して行われていますが(4)、有効性との関連からクルクミンに関する報告が最も多く見られます。クルクミンは、摂取量の多くが72時間以内に排泄され(5)、小腸からわずかに吸収されると考えられています(6)。安全性も高く、ラットにおいて5g/kg摂取させた場合の安全性も確認されています(7)。人においても3ヶ月間8g/dayの摂取が毒性を示すことなく安全に摂取され、炎症に対する有効量の1.125-2.5g/dayの摂取においても安全であることが報告されています(8)。ウコンの摂取目安が10g/dayでクルクミンの含有量が約3から4%であることを考えれば、安全性が非常に高い成分であると考えられるでしょう。しかしその一方で、大量摂取による肝臓の脂肪変性が示されるなど(1)、摂取量による機能性と安全性に対する疑問点や他の構成成分の影響などは明確に示されていないのも現状です。

 ウコンの生理機能が多岐に及ぶことからも、それらの有効摂取量と安全性をより詳細にすることが今後の課題と思われます。従って、この点に関する検討を一部、本研究プロジェクトにおいて実施しています。


参考文献

1. 日本薬草全書 新日本法規 水野瑞夫 監修、田中敏弘 編集 74-76 (2000)

2. 中薬大辞典、上海科学技術出版社 小学館編、第一巻、475−477 (1998)

3. Park E. J., Jeon C. H., Ko G., Kim J., Sohn D.H., Protective effect of curcumin in rat liver injury induced by carbon tetrachloride. J. Pharm. Pharmacol., 52, 437-440 (2000) PMID=10813555

4. Shankar T. N., Shantha N. V., Ramesh H. P., Murthy I. A., Murthy V. S., Toxicity studies on turmeric (Curcuma longa): acute toxicity studies in rats, guineapigs & monkeys. Indian J. Exp. Biol., 18, 73-5 (1980) PMID=6772551

5. Ravindranath V., Chandrasekhara N., Metabolism of curcumin--studies with [3H]curcumin. Toxicology, 22, 337-44 (1981) PMID= 7342372

6. Ravindranath V., Chandrasekhara N., In vitro studies on the intestinal absorption of curcumin in rats. Toxicology, ;20, 251-257 (1981) PMID=7256789

7. Wahlstrom B., Blennow G., A study on the fate of curcumin in the rat. Acta Pharmacol. Toxicol., (Copenh) 43, 86-92 (1978) PMID=696348

8. Chainani-Wu N. Safety and anti-inflammatory activity of curcumin: A component of turmeric (Curcuma longa). J. Altern. Complement. Med., 9, 161-168 (2003) PMID=12676044


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