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高病原性クリプトコックス症(Cryptococcus gattiiによるクリプトコックス症:ガッティ型クリプトコックス症)に関する注意

平成22年7月21日作成
平成22年7月21日更新
生物活性物質部
担当者 金子(内線2327)
 

<概要>
 発病率、死亡率が高いと推定される高病原性クリプトコックス症の北米太平洋岸を中心とした発症地域の拡大傾向が指摘されているが、今回、北米型と同じ遺伝子パターンをもつC. gattiiにわが国で感染した可能性のある症例が報告されたため1、注意喚起の目的で本情報を掲載する。

<高病原性クリプトコックス症とは>
 クリプトコックス症は、病原性真菌Cryptococcus属による感染症である。わが国でのクリプトコックス症のほとんどはCryptococcus neoformansC. neoformans)による感染症で、肺感染症や脳髄膜炎として発症する。今年に入り新聞等で報道され、問い合わせ等があったガッティ型クリプトコックス症は、C. neoformans とは別種のC. gattiiによる感染症である。C. gattiiは従来その生息がオーストラリアを中心とする熱帯・亜熱帯地域に限定されており、ヒトへの感染発病は稀とされてきた。症状等はC. neoformansによるクリプトコックス症と類似するが、近年、カナダ・ブリティッシュコロンビア州、バンクーバー島周辺で集団発生がみられるガッティ型クリプトコックス症では、発病率、死亡率が高いとされていること2、感染者の多くが健常者であること、発生地域が北米太平洋岸を中心に拡大傾向にあること3、また、原因真菌であるC. gattiiの遺伝子タイプが従来型と変化していること4,5 などから、わが国でみられるC. neoformansによる通常型のクリプトコックス症や従来のガッティ型クリプトコックス症と区別するため、北米型遺伝子タイプをもつC. gattiiによるクリプトコックス症を、便宜的に「高病原性クリプトコックス症」として、注意を喚起する。

参考文献
1. Okamoto K, Hatakeyama S, Itoyama S, Nukui Y, Yoshino Y, Kitazawa T, Yotsuyanagi H, Ikeda R, Sugita T, Koike K. Cryptococcus gattii Genotype VGIIa Infection in Man, Japan, 2007. Emerg Infect Dis 16:1155-7, 2010.
2.Galanis E, Macdougall L. Epidemiology of Cryptococcus gattii, British Columbia, Canada, 1999-2007. Emerg Infect Dis 16: 251-7, 2010.
3.Byrnes III EJ, Bildfell RJ, Frank SA, Mitchell TG, Marr KA, Heitman J. Molecular evidence that the range of the Vancouver Island outbreak of Cryptococcus gattii infection has expanded into the Pacific Northwest in the United States. J Infect Dis 199: 1081-1086, 2009.
4.Fraser JA, Giles SS, Wenink EC, Geunes-Boyer SG, Wright JR, Diezman S, Allen A, Stajich JE, Dietrich FS, Perfect JR, Heitman J. Same-sex mating and the origin of the Vancouver Island Cryptococcus gattii outbreak. Nature 37: 1360-1364, 2005.
5.Byrnes III EJ, Li W, Lewit Y, Ma H, Voelz K, Ren P, Carter DA, Chaturvedi V, Bildfell RJ, May RC, Heitman J. Emergence and pathogenicity of highly virulent Cryptococcus gattii genotypes in the Northwest United States. PLoS Pathogens 6: e1000850, 2010.

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