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カポジ肉腫について

疾患の概要
臨床病型
頻度等
病期と臨床症状
診断
治療と予後
病因と病理
文献

 

疾患の概要

エイズの代表的な合併症として重要な疾患(エイズ関連カポジ肉腫)。

最初は地中海沿岸や東欧系の老人にまれにみられる血管系の肉腫として報告された(古典的カポジ肉腫)(Antmanら, 20001))。エイズ関連の他に、移植などの医原性の免疫不全症に伴うカポジ肉腫がある。

エイズで男性の同性間性的接触(MSM)が重要な危険因子。近年、HIVの新規感染者の7割がMSMであり、カポジ肉腫は日本で急激に増えつつある。

カポジ肉腫の全例からHHV-8が検出され、HHV-8がカポジ肉腫の原因ウイルスである。

確定診断は病理組織診断による。免疫染色でHHV-8関連抗原は必ず陽性となる。

カポジ肉腫の治療は抗癌剤と抗HIV薬が主で、HHV-8に対する抗ヘルペスウイルス薬は無効。

 

臨床的病型

古典的カポジ肉腫(classic Kaposi's sarcoma):エイズとは無関係に風土病的に発症するカポジ肉腫で、地中海沿岸のほか、世界各地に散発例を認める。老人の四肢、体幹の皮膚に発症し、浮腫や疼痛を伴う。自然治癒することもある。

アフリカ風土病型カポジ肉腫 (African endemic KS):アフリカの小児に発生するカポジ肉腫でリンパ節病変が多いことや強い浮腫が現れることが特徴とされる。

エイズ関連カポジ肉腫(AIDS-associated Kaposi's sarcoma, AIDS-KS):エイズ患者に合併するカポジ肉腫で、日本で最も多く見られる病型である。MSMに限られる。

医原性カポジ肉腫(iatrogenic KS):臓器移植など免疫抑制剤投与に関連して起こる医原性のカポジ肉腫。

 

頻度等

今日、本邦で見られるカポジ肉腫のほとんどはAIDS-KS。

AIDS-KSの発症はMSMがほとんどで、女性は稀である。

本邦ではエイズ患者の5%―10%に合併が見られる。

発症部位としては皮膚がもっとも多く、その他にも消化管、肺、リンパ節など。

発症時期はCD4が200 cells/mm3を切ったあたりから発症率が高くなるが、近年ではCD4値が200 cells/mm3以上での発症例もみられる。

 

病期と臨床症状

病期

patch stage:初期の皮膚病変部で、暗赤色調の平坦で小さな斑状病変。

plaque stage:patch stageの小病変部が癒合してできた斑状の暗褐色隆起性病変。

nodular stage:結節性で、硬い皮下腫瘤として認識される。

初期病変や病状の軽い場合には無痛性で四肢や顔面の皮膚、口腔粘膜に発症する。

病状が進行すると、浮腫や疼痛を伴い、口腔病変では摂食障害の原因となる。

エイズの末期では全身性にaggressiveに進行し、疼痛が激しくなり、リンパ節病変、消化管や肺を中心とした内臓病変を来たし、ときに致死的になりうる。

 

診断

確定診断は病理組織検査により行われる。

HHV-8感染の証明(免疫組織学的検査、核酸検査、血清抗体検査)が重要。詳細は診断のページを参照。

病理組織学的所見

a) patch stage:真皮内に不整な形をした異常血管の増生が目立ち、血管内皮細胞は菲薄化し、血管腔は拡張しているものがある反面しばしば狭小化し、樹枝状に枝分かれする。既存の血管周囲に紡錘形あるいは円形の腫瘍細胞の増生を見、血管腔の狭小化や赤血球の血管外滲出もみられる。

b) plaque stage :patch stageとnodular stageの中間的な性格。

c) nodular stage:紡錘形腫瘍細胞からなる結節性の病変で、紡錘形腫瘍細胞が赤血球を容れた狭い血管性裂隙を多数作り(vascular slit)、束状に錯走しながら増殖する像が見られる。分裂像やhyaline globuleも散見される。

 

治療と予後

皮膚に単発で起こったカポジ肉腫は予後が良い。審美的な問題のある場合や疼痛を伴う場合、および免疫能が低下し、カポジ肉腫が急速に進行していくことが予想される場合が治療の対象になる。

局所治療では放射線治療やビンブラスチンの局注、外科的切除(凍結療法)などが行われる。皮膚における広範な多発病変、リンパ浮腫などを伴う病変、内臓病変などでは、直ちに全身性の治療を行う必要がある。

ドキソルビシン塩酸塩のリポソ−ム製剤(商品名:ドキシル)が標準的な治療薬になりつつある。また、患者の免疫能が回復すると消退する症例もあり、プロテアーゼ阻害薬を含むAZT, ddIなどの強力な抗レトロウイルス療法(highly active anti-retroviral therapy, HAART)には抗カポジ肉腫効果も期待できる。

 

 

病因病理

カポジ肉腫の腫瘍細胞の由来は血管内皮細胞。

HHV-8の感染が必須。詳細はHHV-8のウイルス学を参照のこと。

IL-6, oncostaitn M (OSM), IL-1, TNF-a、FGF、IL-6、PDGF、VEGFなどのサイトカインが増殖因子として働いている。

 

文献

 Antman K, and Chang Y: Kaposi's sarcoma. N Engl J Med 342:1027-38, 2000.

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