●はじめに
 ようこそ、国立感染症研究所ウイルス第二部肝炎ウイルスのページへ。  私は部長の脇田隆字(わきた・たかじ)です。このホームページは肝炎ウイルスに関する情報を提供する目的で開設しました。肝炎ウイルスの専門家および肝臓専門医の方から、一般の方々にも役に立つホームページにしていきたいと考えています。  さて、ウイルス第二部は下痢症をおこすウイルス、ポリオウイルスをはじめとするエンテロウイルス、肝炎ウイルスを担当しています。これらのウイルスに関する基礎研究や、ウイルスに起因すると考えられる疾患についての研究を行っています。例えば、ワクチンや治療法の開発、診断法の改善および開発などです。  このホームページでは、すべての肝炎ウイルスについて詳細に情報提供していきますが、まず、C型肝炎ウイルス(HCV)の基礎研究の最近の進歩についてご紹介しましょう。HCVは1989年に米国のベンチャー企業によりそのウイルス遺伝子が分離され、その存在が明らかとなりました。その後、輸血用血液のスクリーニングにHCVの抗体検査が導入されて、輸血後のC型肝炎が激減しました。このため、我が国ではHCVの新規感染は非常に少なくなったと考えられています。しかし、HCVは一旦感染すると多くの場合キャリア化することが知られています。さらにキャリア化すると慢性肝炎から長期間を経て、肝硬変、肝臓癌に進展することがあります。現在、C型肝炎の治療にはインターフェロンとリバビリンが使用されていますが、その効果は十分とは言えません。新規の治療法の開発が必要であり、そのためにはHCVの基礎研究が重要です。ところが、HCVは研究室内でウイルス培養ができなかったため、研究がなかなか進みませんでした。我々の研究グループ(当時、東京都神経科学総合研究所に在籍)はこの状況を打開するために研究を重ね、ついに2005年に世界に先駆けてHCVのウイルス培養に関する研究を発表しました(Wakita T他、Nature Medicine2005 11:791-796)。我々の開発したウイルス培養系は世界中の研究者に提供され、その後、HCVのウイルス学的な研究は飛躍的なスピードで進展しています。ウイルス第二部においても研究員が日夜研究に励んでおり、その成果は着々と学会および論文に報告しています。新しい研究成果についても随時情報提供していく予定です。  5種類の肝炎ウイルス(A型、B型、C型、D型、E型)はそれぞれ特徴があります。このホームページでは、個々のウイルスについて、できるだけ理解が深まるように内容を充実させていく予定です。どうぞご期待ください。

国立感染症研究所・ウイルス第二部 脇田隆字