フラビウイルス脳炎は、次疾患があげられる。

·       日本脳炎(Japanese encephalitis)
·  マレー渓谷脳炎(Murray valley encephalitis)

·        セントルイス脳炎(St. Louis encephalitis)、ロシオ脳炎(Rocio encephalitis)

·        西ナイル熱(West Nile fever)

·        ダニ媒介性フラビウイルス脳炎(ロシア春夏脳炎、中央ヨーロッパ脳炎)

 

このページではアメリカ大陸で広く流行しているセントルイス脳炎(St. Louis

encephalitis) を取り上げます。

<セントルイス脳炎(St. Louis encephalitis)>

·       セントルイス脳炎ウイルスの特徴:抗原性から区別することは出来ないが、遺伝子的に合衆国東部・西部・南アメリカに由来する3型に分類される。神経病原性は、流行が大規模になるほど強まる傾向にある。

·        疫学:セントルイス脳炎ウイルスはアメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、中南米に広く分布している。図1のような蚊によって媒介される。日本においてもアカイエカ、チカイエカ、熱帯イエカなど媒介能力を有する蚊は存在する。アメリカ合衆国東部においては、何年かごとに流行を繰り返しているが、西部では四季を通じて散発的に発生している。しかし、合衆国全体での統計では図2の如く患者の発生は、6月頃からみられ、8、9月をピクに11月頃に終息をみる。しかし、フロリダや南カリフォルニアでは12月後半に患者が発生することもある。

·        感染経路:自然界では蚊によってのみ媒介され、ヒトからヒトへ、あるいは鳥からヒトへといった感染経路は存在しない。実験室内感染としては、経粘膜感染あるいは経気道感染の報告例がある。

·        病理:潜伏期間は4から21日である。病理的変化は中枢神経のみと報告されているが、ウイルスは肺・肝・碑・腎臓・硝子体液からも分離される。

·        臨床症状:症状は頭痛を伴う発熱を示すだけのものから、髄膜炎症状あるいは脳炎症状を呈するものまである。発症は倦怠感、悪心、悪寒、熱発により急激に起こる。その他の初期症状は咳、咽頭痛、腹痛、嘔吐、下痢等も認める。最盛期には高熱が稽留、重症の場合は髄膜炎症状、意識障害、痙攣・めまい等の神経症状を認める。蛋白尿・膿尿といった泌尿器系障害も生じる。

·        実験室内診断:

患者の急性期の血清からウイルスを分離するか、RT-PCR法によりウイルス遺伝子(RNA)を検出し、遺伝子配列を検討する。

 

図1

   

図2

図3