ウエストナイル熱・脳炎Q&A

ウエストナイルウイルスについて

感染経路について

症状について

治療と予防について
予防方法
    
    輸血・臓器移植について
ワクチンについて
検査と治療について
虫除け剤の安全な使用法

    ウエストナイルウイルスについて

Q ウエストナイルウイルス、ウエストナイル熱、ウエストナイル脳炎とは、何ですか。

A ウエストナイルウイルスは、ウイルス学的にはフラビウイルス科フラビウイルス属という分類がなされます。このウイルスは、日本脳炎ウイルスと極めて近い関係にあるウイルスです。アフリカ、西アジア、中東、ヨーロッパ、北米で見つかっています。蚊が媒介して、ヒトのほか、トリ、ウマなどの動物への感染がわかっています。
ウエストナイル熱は、インフルエンザ様の症状で、比較的軽症の病気です。ほとんどの患者さんは数日から一週間以内で回復します。このウイルスが脳に感染して、さらに重篤な状態が、ウエストナイル脳炎です。

Q ウエストナイル熱・脳炎は、これまでどこで報告されていますか。また日本でも報告されていますか。

A ウエストナイル熱・脳炎は、従来アフリカ、ヨーロッパ、西アジアで患者発生報告がありました。アメリカ大陸での患者発生はありませんでしたが、1999年アメリカ合衆国のニューヨーク市周辺での流行が報告されたことから、大きな注目をあつめるようになりました。近年の主な流行は以下の通りです。

イスラエル:1951-1954, 1957, 2000年
フランス:1962, 2000年
南アフリカ:1974年
ルーマニア:1996年
イタリア:1997年
ロシア:1999年-2005年
アメリカ合衆国:1999−2006年
    カナダ(2002年-2005年)

現在のところ、日本における国内感染の報告はありません。輸入感染症例についてはこちらをご覧下さい。さらに詳しいことは、感染症学雑誌80巻(1)p56-57「本邦で初めて確認されたウエストナイル熱の輸入症例」に掲載されています。


感染経路について

Q ウエストナイルウイルスはどのようにして感染しますか。

A ウエストナイルウイルスは自然界においては、トリと蚊の感染サイクルで維持されています。ヒトはウエストナイルウイルス感染蚊に刺されることにより感染します。媒介蚊は、イエカやヤブカ等で、これらの蚊は日本にも生息しています。通常、ヒトからヒトへの直接感染はありません。

Q 蚊以外からウエストナイルウイルスが感染することはありますか。

A 最近の米国での流行で、移植された臓器および輸血を介しての感染を疑わせる報告がありました。事実関係については、現在、米国の研究機関等において確認作業が進められているところです。

 我が国においては、輸血用血液の安全性確保のため、米国等から一ヶ月以内に帰国した方が献血をされる際に、ウエストナイル熱に関連した症状の有無などについて健康状態を十分に確認し採血を行っています。また、血漿分画製剤についても、現在行われているウイルス不活化処理はウエストナイルウイルスに対しても十分に対応できるものと考えられています。

 臓器移植がウエストナイルウイルスの感染経路である可能性は否定されておらず、また移植時の患者の免疫力と関係がある可能性も指摘されています。一方、角膜移植についてはこれまで感染例もなく低リスクと考えられています。また、骨髄移植およびさい帯血移植については感染経路となる可能性は否定できませんが、これまで感染例は報告されておりません。いずれにせよ、ウエストナイルウイルスのこれらの感染経路についてはいまだ明らかにされておらず、今後とも内外の情報に注意しながら、適宜対応していく必要があります。

Q ウエストナイルウイルスは、母乳を介して感染しますか。

A 最近の米国での流行においてウエストナイルウイルスが、母乳を介して感染した可能性があるとされる1例の報告がなされました。(この感染経路については米国で現在調査中ですので、今後の報告に注意する必要があります。)しかし、授乳については、米国疾病対策予防センター(CDC)は「現在の知見では、母乳による育児を勧める方針を変更する必要性は示されていない」としています。もちろん、母親に何らかの症状がある場合には、医療機関への受診をおすすめします。

Q ウエストナイルウイルスに感染した鳥や動物の肉を食べてヒトが感染することはありますか。

A これまでにウエストナイルウイルスに感染した鳥や動物の肉を食べてヒトが感染した報告はありません。


症状について

Q ウエストナイルウイルスにかかった時はどのような症状がでますか。

A ほとんどの人(約80%)は無症状です。感染した人のうち、2割程度がウエストナイル熱になると考えられており、発熱、頭痛、筋肉痛や、時に発疹、リンパ節の腫れが見られますが、症状は軽度です。
 ウエストナイル脳炎になり重症化すると、激しい頭痛、意識障害、痙攣、筋力低下、麻痺などを示します。

Q ウエストナイルウイルスに感染した蚊に刺されたら、どの位で症状がでますか。

A たとえ感染した蚊に刺されても、すべてのヒトが感染するとは限らず、また感染したとしても症状が出るのは、2割程度です。その際に症状が出るまでの期間は、2〜14日(普通2〜6日)です。

Q ウエストナイル熱・脳炎の症状は通常どの位続きますか。

A ウエストナイル熱では1週間以内で回復しますが、脳炎など重症になると数週間続き、まれに後遺症が残ることもあります。

Q ウエストナイル熱・脳炎のような症状が出たらどうしたらよいですか。

A まずかかりつけの医師などに相談して下さい。もし、高熱、激しい頭痛、意識障害、筋力低下などが出た時は急いで医療機関を受診してください。

Q どのような人がウエストナイル脳炎にかかりやすいのですか。

A ウエストナイルウイルスが蔓延しているところに住んでいる人は誰でもかかる危険性がありますが、特に高齢の人は重症になりやすいといわれています。

Q ウエストナイルウイルスに感染して重症となるのはどれ位の割合ですか。

A 感染した人の約80%は無症状で終わり、重篤な症状を示すのは、感染した人の約1%といわれています。重篤な患者は主に、高齢者にみられ、重症患者の3〜15%が死亡するといわれています。


予防・治療について

Q ウエストナイルウイルスの感染を予防するにはどうしたらいいですか。

A 蚊に刺されないようにすることが予防となり、以下のことが勧められています。
・露出している皮膚への蚊除け剤の使用
・戸外へでるときは、できる限り長袖、長ズボンを身につける
・網戸の使用などまた蚊は、バケツ、古タイヤなど、ちょっとした水溜りにも卵を産むので、蚊の発生を減らすために、これらの水を空にするよう心がけましょう。

Q ウエストナイルウイルスに対するワクチンはありますか。

A ウエストナイルウイルスに対するワクチンは、今のところありません。

Q ウエストナイル熱・脳炎の治療方法はありますか。

A ウエストナイル熱・脳炎に対する治療薬はなく、症状を軽減する治療が中心となります。


以下のQ&AはCDCのQ&Aをもとに、日本向けに一部改変したものです。

◎予防方法について

Q. ウエストナイル熱・脳炎を予防するにはどのような方法がありますか?
A. 以下に家庭で行える予防方法を示します。
@蚊の吸血を避ける:

A野外にある職場や遊び場近辺の水たまりをなくすことにより蚊の産卵と幼虫の成育する場所をなくし、蚊の数を減らしましょう。

        : 「ビタミンB」および「超音波装置」には蚊に対する効果は認められません。

     

Q. ウエストナイルウイルスの発生を予防するには何ができますか?
A. ウエストナイルウイルスやその他の昆虫媒介性疾患を予防するには病気を媒介する蚊などの昆虫を駆除するためのプログラムを実施することが最も効果的です。これらのプログラムには蚊、鳥、馬、その他の動物、ヒト等におけるウエストナイルウイルスの活動状況を監視し、必要な場合には蚊の防除を実施します。地域内でウイルスの活動が明らかになった場合には地域住民に蚊の防除を強化するよう警告すべきです。蚊の対策についてのより詳しい情報についてはウエストナイル熱媒介蚊対策に関するガイドラインを参照して下さい。

   Q. 蚊を駆除するための殺虫剤等の情報はどこで得ることができますか?
    A. ウエストナイル熱媒介蚊対策に関るガイドラインを参照して下さい。

◎ウエストナイルワクチンについて
    Q.ウエストナイルウイルスに対するヒト用のワクチンはありますか。
A.いいえ。現在のところヒト用に実用化されたウエストナイルワクチンはありません。多くの科学者がワクチン開発を行っています。ここ数年のうちに実用化されるでしょう。わが国でもすでに不活化ワクチンは試作されています。

    Q.人々は使用が許可されているウマ用ワクチンを使えるでしょうか。

A.いいえ。このワクチンはヒトにおける安全性等の検討がされておらず、ヒトには有害であるかも知れません。ウマにおけるウエストナイルウイルス感染に関する防御効果に関しても完全には評価が確定しておりません。したがってヒトにおける効果はまったく不明です。動物用のワクチンはヒト用ワクチンに必要な厳密な品質と純度の基準を満たして製造されているわけではなく、ヒト用のワクチンの製造承認を得る前に必要な膨大な実地試験が実施されていません。これらのことから、動物用のワクチンや治療薬をヒトに使用することはできません。
◎検査と治療

Q. ウエストナイルウイルスに感染したようなのですがどうしたら良いでしょうか?
A.体の不調を感じた場合は医師に相談して下さい。とくに高熱、錯乱、筋肉の麻痺、激しい頭痛などの症状が現れた場合は、
 ただちに受診してください。


Q. ウエストナイルウイルスの検査はどのように行われますか?
A. 医師はまず患者のウエストナイルウィルス感染のリスクを評価するために患者の病歴を確認します。ウエストナイルウイルスの流行地域 に居住または旅行する人はウエストナイル熱・脳炎を発症する可能性があります。また年齢50歳以上の人は特にウエストナイル熱・脳炎が重症化することがあります。したがってウエストナイル熱・脳炎の症状が認められ、重症化する危険性がある場合は採血を行い血液検査が行われます。

Q. どのようにしてウエストナイルウイルスの感染は診断されますか?
A.
症状と病歴によってウエストナイルウイルス感染症が疑われた場合実験室検査により確定診断が行われます。

もっとも一般的な実験室検査法はウイルス感染初期に出現する抗体の検査です。この抗体はIgM抗体と呼ばれ血液や脳脊髄液中に検出されます。この検査は感染初期では陽性を示しませんが、発症8日以内にほとんどの感染者が陽性を示します。IgM抗体検査は国立感染症研究所、宮城県保健環境センター、東京都健康安全研究センター、愛知県衛生研究所、大阪府立公衆衛生研究所、広島県保健環境センター、福岡県保健環境研究所等で行っています。

さらに中和抗体検査が行われる場合があります。中和抗体検査が行われるのは:

ウエストナイルウイルス感染症の初期症状が観察された場合、
◎IgM抗体検査の結果が擬陽性であり検査結果の確定が難しい場合、
◎患者が日本脳炎ウイルスなどのウエストナイルウイルスに近いウイルスに感染したため検査結果が擬陽性となった場合です。
中和試験にはウイルスの培養が必要なため一週間以上かかります。中和試験はウエストナイルウイルス感染症の確定診断をする上で有効な検査です。その他の検査としてウエストナイルウイルスを血液あるいは脳脊髄液中から分離する検査、ウエストナイルウイルス遺伝子を血液あるいは脳脊髄液中に検出する検査があります。
Q. これまでにウエストナイルウイルス感染症が国立感染症研究所により確認されたことはありますか?
A.
2005103日に日本において初めて米国からの輸入症例が報告されました。患者は米国に滞在した30代の男性で,帰国前夜から倦怠感を呈し帰国途上の機内で発熱,頭痛を認め帰国3日後には両上下肢に1mm大の紅斑丘疹が出現しました。米国出張中に蚊に刺され発熱,頭痛等の症状を呈したことからウエストナイル熱等の蚊媒介性感染症が疑われました。そのためウエストナイルウイルス感染のIgM抗体検査を行ったところ感染初期に採取した血清で弱陽性、回復期に採取した血清で陽性を示しました。さらに両血清を用いた中和試験では、8倍以上の抗体価の上昇が認められました。これらの検査結果および医師の臨床所見より本症例は103日にウエストナイル熱と診断されました。
Q. ウエストナイル脳炎の治療法を教えて下さい。
A. これまでのところウエストナイルウイルス感染症の治療法はありません。重症例が発生した場合は入院、輸液、気道確保、人工呼吸、二次感染の予防(肺炎、尿路感染症等)等の集中治療が行われます。

◎輸血と臓器移植について

Q.臓器移植でウエストナイルウイルスに感染した例はありますか。
A. はい、米国やカナダでそのような事例が報告されています。米国では2002年に一人のドナー(臓器提供者)から移植を受けた4名の移植患者が感染し、3名が脳炎を発病し、腎臓移植を受けた1名が死亡しました。また、2005年に一人のドナーから移植を受けた4名のうち3例が感染した事例があります(下記を参照してください)。そのほか、カナダで4症例が移植により感染し脳炎を発症しました。

Q. 2005年の米国の症例(下記)はどうしてウエストナイルウイルスに感染したとわかったのですか?
質問に関連する文献 West Nile Virus Infections in Organ Transplant Recipients --- New York and Pennsylvania, August--September, 2005. MMWR Dispatch, October 5, 2005
A. ひとりのドナー(提供者)から臓器提供を受けた移植患者が予期しない神経症状を来たしたので、血液(血清や血漿)を検査したところWNVのウイルス遺伝子は検出されませんでしたが、ウエストナイルウイルス(WNV)に対するIgM抗体、IgG抗体が陽性でした。

Q:そのドナー(提供者)はどうしてウイルスに感染したのですか?
A.
そのドナーはウイルス感染蚊に刺されたようです。本ドナーは戸外で過ごすことが多く、死亡するおよそ10日前に近くで収集された蚊からウイルスが検出されています。

Q. 臓器移植が実施される前のドナーと提供臓器については、現在米国ではどのような検査が実施されていますか?
A.
臓器提供者の感染症リスクは米国周旋基準に基づいてスクリーニングされています。米国においてはWNVの遺伝子増幅検査(NAT)は現在のところすべてのドナーについて必ず実施しなければならないというものではありません。1)NATは血液製剤を作る際に唯一実施されうる検査です。2)WNVNATに要する時間の問題。3)臓器提供に関してその有用性が未確認である。以上のことから、臓器提供に関するスクリーニングに関する米国のガイドラインについては引き続き検討が進められています。

Q.輸血用の血液に関してはWNVの遺伝子検査をすることでウイルスに感染する危険性を減らすことができると言われていますが、臓器移植ではそのようなことが無いのですか?
A.
それについては考えないといけない点が次の3つです。(a)時間、(b)どのような検査をするのか。(c)血液と臓器という生物学的な違いです。(a)臓器移植に際しては、時間が非常に重要だからです。移植を受ける患者にとって提供臓器は輸血と違って限られています。(b)臓器移植に際してWNVの遺伝子検出は、輸血用血液においてウイルスの存在を同定することと同等に有用であるという根拠が現時点ではまだありません。(c) 限られた症例数の研究ですが、IgM抗体が存在する血液であれば、たとえウイルスが存在しても、その血液を輸血されたヒトに感染は成立しなかったという回顧的調査結果があります。そして、IgM抗体が陰性であれば、ウイルスがたとえ少量であっても感染が成立した30症例の調査結果がある。臓器移植に伴うWNV感染の場合、IgM抗体やIgG抗体があって血中にウイルス遺伝子が検出されなかった場合でも感染する可能性があります。ヒトやサルにおいては血液中からウイルスが消えても、臓器にはウイルスが存在するデータがあります。臓器移植においては、輸血用血液とはまた別な検査が必要であるといえるでしょう。

Q.臓器が移植される前にウエストナイルウイルス感染のリスクを見極めることができる検査があるでしょうか?
A.
WNVの遺伝子増幅検査が相当するでしょうが、ドナーが感染していたとしても必ずしも検出できるとは限りません。

Q.移植後の患者はどのようなフォローアップがされるでしょうか。将来は臓器移植によるWNV感染のリスクは減るでしょうか?
A.
臨床医は臓器移植に伴う感染が生じる可能性に注意しなければなりません。移植患者においてあまり予想されない症状があらわれないか、特にいくつかの症状が同時にあらわれないかに十分注意をはらうべきです。臓器移植によりWNVに感染した疑いのある患者が発生した場合、ただちにそのことを保健所あるいは国の機関に報告してください。

Q.米国で移植患者がウエストナイルウイルスに感染した場合、どのような治療がされるのでしょうか。また、移植患者以外のウエストナイル熱・脳炎の患者でもその治療法は使われるのでしょうか?
A.
米国では移植によりWNVに感染した患者には、Omr-IgG-amというγ-グロブリン製剤が静脈注射されます。Omr-IgG-amは、WNVを中和する(感染力をなくす)高い抗体を含有しています。これは米国FDAにより、二重盲検法による臨床評価段階です。これ以外に、有効な治療法、予防法は現在のところありません。


◎虫除け剤(忌避剤)の安全な使用法

一般的質問

Q. なぜ忌避剤を使用しなければいけないのですか?
A.
忌避剤の使用により蚊の吸血を避けることが出来ます。蚊はときに死に至るウエストナイル熱・脳炎や日本脳炎等の原因ウイルスを媒介します。忌避剤の使用により野外での仕事等の活動における蚊の吸血を避けることが出来ます。

Q. 忌避剤はどのようなときに使用するべきでしょうか?
A. 外出するときに使用して下さい。あなたが気付かなくても蚊に刺される可能性があります。ウエストナイルウイルスを媒介する蚊の多くが夕方から明け方にかけて吸血します。夜間に野外活動をする場合は特に忌避剤を使用する必要があります。また昼間に吸血する蚊の中にもウエストナイルウイルスを媒介するものがあります。

Q. 忌避剤はどのような頻度で使用するべきですか?
A. 一般的に蚊に吸血され始めたら再使用して下さい。また常に忌避剤の使用上の注意に従って下さい。発汗、雨降り、水遊び等で濡れた場合はより頻繁に忌避剤を使用する必要があります。

一般的に有効成分が高濃度に含まれている忌避剤は薬剤の有効性が長く持続します。

Q. 忌避剤はどのように働きますか?
A.
雌の蚊は人や動物の血液に含まれる蛋白を産卵時に必要とするため吸血します。蚊は人の皮膚臭と呼気中の二酸化炭素により人に誘引されます。蚊は忌避剤の有効成分を嫌うため人に近寄らず、忌避剤により蚊が死ぬことはありません。また忌避剤は塗布表面の近くでのみ効果を示すため、忌避剤を使用しても蚊は人の周りを飛び回ります。

有効成分(忌避剤の種類)

Q. どの忌避剤が一番良いですか?
A.
アメリカ疾病対策センター(CDC)は科学的検証により有効性が証明され、皮膚や衣服に使用することをアメリカ環境保護庁(EPA)により認可された有効成分を含む製品を推奨しています。EPAは有効性と人および環境への影響を評価し忌避剤を認可しています。EPAに認可されたと言うことはラベルに記載された使用上の注意に従い忌避剤を使用した場合に健康や環境に対する非科学的な副作用が予想されないことを示します。

EPAに認可された製剤のうち、長く持続し高い効果が示されている成分は [(参考文献 (英語)]:

ユーカリ油[有効成分:p-menthane 3,8-diol (PMD)]を主成分とした忌避剤も販売されています。近年の研究では蚊に対して低濃度のディートと同様の効果を示したと報告されています。

Q. 忌避剤に含まれる有効成分の濃度と効果の関係を教えて下さい。
A.
概して、有効成分の濃度が高いほど、蚊の吸血に対する効果が長く持続します。しかしながら有効成分の濃度の差を性急に比較することはできません。つまり10%濃度のある製品が10%濃度の他の製品と同様の効果を発揮するとは言えません。

ディートは多くの忌避剤の中でも特に効果が示されている有効成分です。2002年に発表された研究によれば:

  1. 23.8% のDEETを含有するものを使用した場合蚊に対する忌避効果が約5時間持続するとされます。
  2. 20% のDEETを含有するものを使用した場合蚊に対する忌避効果がほぼ4時間持続するとされます。
  3. 6.65% のDEETを含有するものを使用した場合蚊に対する忌避効果がほぼ2時間持続するとされます。
  4. 4.75% のDEETを含有するものを使用した場合蚊に対する忌避効果が約1時間30分持続するとされます。

以上は1つの研究結果であり、実際の効果は気温、発汗、雨降り、水遊び等で水に濡れる等の状況によって変化するため参考程度にして下さい。

野外活動の予定によって忌避剤を選択して下さい。長時間野外活動を行う場合は高濃度の忌避剤を選んで下さい。また短時間の場合は低濃度の忌避剤を使用して下さい。予定よりも長く野外活動を行い忌避剤の効果が薄れ蚊に刺され始めたら使用上の注意に従い忌避剤を再使用して下さい。

Q. なぜアメリカ疾病対策センター(CDC)は特定の忌避剤を推奨しているのでしょうか?
A.
アメリカ疾病対策センター(CDC)はアメリカ環境保護庁(EPA)に認可された忌避剤を推奨しています。なかでもディート(N,N-diethyl-m-toluamide)は有効成分の効果が最も持続します。またユーカリ油(p-menthane-3,8-diol)を含む忌避剤は植物由来の原料をもとにした忌避剤のなかでは比較的効果が長く持続します。その他の忌避剤としてペルメトリンを含む忌避剤も効果が長く持続します。ペルメトリンは衣服、蚊帳、テント及び寝袋等に塗布して使用します。直接皮膚に塗布してはいけません。一般的に有効成分の濃度が高い場合その効果はより長く続くとされています。

忌避剤の使用により具合が悪くなる等の症状が現れた場合は、直ちに、医師の診療を受けて下さい。

Q. 忌避剤に含まれている有効成分はどのようにすれば解りますか?
A
. 製品のラベルを見て下さい。有効成分の表示は義務付けられています。また一般名の他に化学名等の別名が特に海外等では記載されている場合があります:
@ディートはDEETやN,N-diethyl-m-toluamideなど。
Aユーカリ油(レモンユーカリ油)はOil of lemon eucalyptusやp-menthane 3,8-diol (PMD)など。
Bピカリジンは日本未発売、米国ではPicaridinやKBR 3023、欧州ではBayrepelなど。

Q. ペルメトリンとは何ですか?
A.
ペルメトリンは靴、蚊帳、キャンプ用品などに使用します。しかしながら直接皮膚に使用してはいけません。ペルメトリンは殺虫剤、忌避剤として極めて有効です。ペルメトリン処理した衣服はダニ、蚊、その他の節足動物を寄せ付けず、殺虫します。またこの効果は洗濯後も持続するとされています。ペルメトリンの再処理に関しては使用上の注意を正しく守って下さい。ペルメトリン処理された蚊帳等の製品も販売されています。

Q. どこでこれらの忌避剤を入手できますか?
A.
ほとんどの忌避剤は薬局、スーパー等で入手可能です。またホームセンターやアウトドア専門店でも購入できます。

忌避剤の正しい使用法

Q. 忌避剤を使用する場合にどのようなことに注意すれば良いでしょうか?
A.
使用上の注意を良く読んで正しく使用して下さい。

Q. 忌避剤を使用した場合の副作用を教えて下さい。
A.
忌避剤の使用により希に皮膚反応が認められる場合があります。また多くの製品で、目に入った場合炎症反応が起こるとされています。もし副作用が現れたら使用を中止し、ただちに皮膚を洗い流して医師の診察を受けて下さい。また万が一目に入った場合は水で洗い流し医師の診察を受けて下さい。医師の診察を受ける際には使用した製品を持参して下さい。

(米国では1-800-222-1222に電話すると専門家につながります)

子供と忌避剤

Q. 忌避剤を子供に使用してもいいですか?
A.
各製品の説明書をチェックしてください。もし、小児の使用に関して特に何も書かれてなければ使用しても構いません。アメリカ疾病対策センターは米国製品の説明書に従いユーカリ油を3歳以下の子供には使用しないよう発表しています。一方、アメリカ小児学会(AAP)はユーカリ油に関してまだ見解を発表していません。


ディートに関しては厚生労働省医薬食品局より2005年8月24日に次のような発表がありました:

ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について

漫然な使用を避け、蚊、ブユ(ブヨ)等が多い戸外での使用等、必要な場合にのみ使用すること。

小児(12歳未満)に使用させる場合には、保護者等の指導監督の下で、以下の回数を目安に使用すること。なお、顔には使用しないこと。

 ・

6か月未満の乳児には使用しないこと。

 ・

6か月以上2歳未満は、1日1回

 ・

2歳以上12歳未満は、1日1〜3回

目に入ったり、飲んだり、なめたり、吸い込んだりすることがないようにし、塗布した手で目をこすらないこと。万一目に入った場合には、すぐに大量の水又はぬるま湯でよく洗い流すこと。また、具合が悪くなる等の症状が現れた場合には、直ちに、本剤にエタノールとディートが含まれていることを医師に告げて診療を受けること。


ディートに関してアメリカ疾病対策センター(CDC)の見解は次のとおりです:

DEETは最も広く使用されている忌避剤であるため多く人から子供への使用の是非について質問を受けます。これまでの研究では何%のDEETが子供に対して安全かの最終的なデータは得られていません。使用上の注意に従って使用した場合、子供に重度な副作用の報告はありません。アメリカ小児学会(AAP)の環境健康委員会は2003年に子供のDEET使用法について次のような発表を行いました。@10%のDEET (N,N-diethyl-m-toluamide或いはN,N-diethyl-3-methylbenzamide)を含む忌避剤は30%DEET忌避剤よりも使用上の注意を守る限り安全であると思われます。A2か月齢未満の乳児にDEETを使用してはいけません。

保護者は野外活動の時間、蚊の有無、蚊媒介性疾患の流行状況を考慮して忌避剤とその濃度を選択し子供に使用して下さい。

もし、小児に忌避剤を使用することが心配である場合には、専門家あるいは医師に相談してください。


Q. 子供に忌避剤を使用する場合に注意することを教えて下さい?
A.
常に使用上の注意を良く読んで正しく使用して下さい:

Q. こどもを蚊の吸血から守るためには他にどの様なことに気を付ければ良いですか?
A.
忌避剤の使用が蚊の吸血から身を守るための唯一の方法ではありません。子供(あるいは大人)は野外で活動する場合、可能な限り長袖長ズボンを着用しましょう。DEETの他にペルメトリンなどのその他の忌避剤を使用することにより衣服を透した蚊の吸血を防ぐことができます。しかしながらペルメトリンを直接肌に使用してはいけません。

またベビーカー専用の蚊帳等も販売されています。

最後に蚊が繁殖できるゴミ、容器などの水たまりを周囲(地域)から、なくす努力が必要です。

Q. 忌避剤を妊娠中や授乳中の女性に使用しても良いですか?
A.
アメリカ環境保護庁(EPA)妊娠中や授乳中の女性の忌避剤の使用について特に注意喚起を行っていません。疑問がある場合は医師に相談してください。

 

忌避剤と日焼け止めについて

Q. 忌避剤と日焼け止めを同時に使用しても良いですか?
A.
はい。野外では忌避剤と日焼け止めを同時に使用するべきだと思われます。製品の使用上の注意を良く読み正しく使用して下さい。一般的に日焼け止めを先に使用し、次にその上から忌避剤を使用します。

特に海外などでは忌避剤であるDEETを含む日焼け止め製品が販売されている様ですが、アメリカ疾病対策センター(CDC)はこれらの使用を推奨していません。DEETと日焼け止めでは使用法が異なります。多くの場合日焼け止めは頻繁に使用する必要がありますが、忌避剤は日焼け止めほど頻繁に使用する必要はありません。またDEET以外の忌避剤を含む日焼け止めも現時点では推奨されていません。重要なことは、いかなる製品も使用上の注意を良く読み正しく使用することです。

日差しと蚊から身を守るためには長袖長ズボンも有効です。また肌に直接忌避剤を塗布しなくても衣服に塗布すれば忌避剤は効果を現します。