黄   熱

主要な脊椎動物の宿主はサルとヒトである。ウイルス血症は約8日間続いてその後終生免疫を残す。アフリカでは主にアフリカミドリザルが感染するが、中南米では多種類のサル(リスザル、マーモセット、ホエザル、クモザルなど)が感染し、感染した場合それらのサルの致命率は高い。蚊は媒介動物でありまた保有宿主でもある。Aedes属(主としてアフリカ)、Haemagogus属(主としてアメリカ大陸)のいろいろな種が関与する。
節足動物中でのウイルスの増殖には4ないし10日を要し、それ以前には感染力はない。

FIFA WORLD CUP BRAZIL 2014観戦のための南米における黄熱リスク地図


黄熱流行地域の詳細データは米国CDCのデータに基づき作成。
星印は試合開催地で赤字は日本が一次予選で試合を開催する都市。
また下線は本戦以降も試合が開催される都市である。

一次予選試合日程

月日

Sao Paulo

Natal

Salvador

Cuiaba

Belo Horizonte

Recife

Fortaleza

Manaus

Brazilia

Porto Alegre

Curitiba

Rio de Janeiro

6/12

ブラジル−クロアチア

6/13

メキシコX カメルーン

スペイン x オランダ

チリXオーストラリア

6/14

コロンビア x ギリシャ

コートジボアール x 日本

ウルグアイx コスタリカ

イングランド x イタリア

6/15

スイス x エクアドル

フランスホンデュラス

アルゼンチン x ボスニア

6/16

ガーナ 米国

ドイツ 

ポルトガル

イラン vs ナイジェリア

6/17

ロシアvs

韓国

ベルギー VS

アルジェリア

ブラジルVSメキシコ

6/18

カメルーンVS クロアチア

オーストラリアVSオランダ

スペイン VSチリ

6/19

ウルグアイVSイングランド

日本VSギリシャ

コロンビアVSコートジボアール

6/20

スイス VS フランス

イタリアVS  コスタリカ

ホンデュラスVSエクアドル

6/21

ナイジェリアVSボスニア

アルゼンチンVS

イラン

ドイツ VS

ガーナ

6/22

アメリカVS

ポルトガル

韓国VS  アルジェリア

ベルギーVS

ロシア

6/23

オランダvs チリ

クロアチアVSメキシコ

カメルーンvsブラジル

6/24

イタリアvs

ウルグアイ

日本vs

コロンビア

コスタリカ vs

イングランド

ギリシャvs

コートジボワール

6/25

ボスニアvsイラン

ホンデュラスVS スイス

ナイジェリアvsアルゼンチン

エクアドルvs

フランス

6/26

韓国vs

ベルギー

アメリカ vs

ドイツ

ポルトガルvs ガーナ

アルジェリアvsロシア

本戦-決勝 試合予定

月日

Sao Paulo

Natal

Salvador

Cuiaba

Belo Horizonte

Recife

Fortaleza

Manaus

Brazilia

Porto Alegre

Curitiba

Rio de Janeiro

6/28

6/29

6/30

7/1

7/2

7/3

7/4

7/5

7/6

7/7

7/8

準決勝

7/9

準決勝

7/10

7/11

7/12

3位決定戦

7/13

決勝


黄熱の浸淫地帯:地図参照(上図)WHO資料に基づく

 北緯15度と南緯15度に挟まれたアフリカの熱帯地方にはこの浸淫地帯が広がっている(1)が、例外はジブチ、ソマリア北部、マダガスカルとAedesを駆逐した都市である。アメリカ大陸の熱帯地方では、北はパナマから南緯15度に至るまで広がっており(2)雨季に発生が多い。特にアマゾン川流域の熱帯雨林に接した国々で地域流行を起こし毎年のように患者発生があるが、WHOは正確な患者数を把握していない。

 アジアと太平洋では、黄熱は存在しないが少なくとも都市部にはAedes aegypyiが生息するため伝播状況は整っている。

<第二時世界大戦後の大きな流行>

最近の黄熱情報:ブラジルでの黄熱流行 WHO/CSR
 ブラジル保健省とWHOアメリカ諸国地域事務局は3月6日までに、Minas Gerais, Rondonia, Goias, Bahiaの4州で合計35人の患者(疑似患者も含む)を報告した。流行の中心は、Minas Geraisで6人の死亡者と5人の患者についてIgM ELISA等で確認されている。現在他の疑似症例についても検査中である。この地域への旅行者にはワクチン接種が勧告されている。

 

1.        西パナマで始まりメキシコで終息した中米の流行(19491956
2.       トリニダード(1954)
3.       エチオピア(19601962
4.       セネガル(1965)
5.       ナイジェリア(1969)
6.       ブルキナファソ(19691983)
7.       アンゴラ(1971)
8.       シエラレオネ(1975)
9.       ガーナ(197719791983)
10.   ガンビア(19781979)

最近五年間で流行をみた国は、ボリビア・ブラジル・ペルー・セネガル・ガーナ・コートジボアールなどである。

臨床症状
潜伏期:通常3ないし6日である。偶発的な実験室内感染ではより長い潜伏期1013日の例が報告されている。
軽症黄熱;発熱と頭痛が突然あらわれ、鼻カタル症状のない点を除けばインフルエンザに類似している。症状を列挙すれば、頭痛・発熱・悪心・嘔吐・結膜充血・蛋白尿などである。13日で回復する。
重症黄熱;感染期、緩解期、中毒期の3段階に明確に分けられる臨床経過が特徴である。緩解期は、わずか数時間である。発病は、頭痛・眩暈・高熱で突然はじまり、第2病日までにはFagetの徴候“高熱にもかかわらず脈拍数は4852/分という徐脈”が現われる。黄熱の古典的三徴候は、黄疸・出血(鼻出血・歯肉出血・下血・子宮出血)・蛋白尿(高度の蛋白尿であっても浮腫・腹水をきたすことは稀である)である。その他の症状として、嘔吐・結膜充血・顔面紅潮・せん妄などがある。

検査所見

病初期に進行性白血球減少症(主として好中球の減少)。白血球総数は第10病日までには正常化する。
血小板数は正常または減少する。黄疸のある症例では凝固時間・プロトロンビン時間・部分トロンボプラスチン時間の顕著な延長
総ビリルビン(抱合型ビリルビン)の増加、血清GOT値の著名な増加(黄疸例で特に顕著である)
脳脊髄液は正常である。

実験室内診断:

1.        ウイルス分離:発症後3日以内に採取された検体から最もよく分離できる。蚊の培養細胞またはオウカの胸部に接種を行う。または、PCR法を用いて遺伝子を検出する。
2.       血清学的検査
  ペア血清を用いたプラック減少中和試験、黄熱IgM抗体の検出が黄熱ウイルスに特異的な検査法である。中和試験は判定に時間がかかるのが欠点である。

治 療 対症療法のみである。

黄熱ワクチン

(1)   ワクチン株
Max Theilerにより、1927年にAsibiという患者から分離された黄熱ウイルスを、種々の培養初代細胞で頻回継代し、最終的に鶏胎児胚細胞で増殖させて弱毒化した。ワクチンはこれを、発育鶏卵に接種して作られている。

(2)   ワクチン
日本で使用されているワクチンは、Sanofi Pasteur社から輸入したものである。凍結乾燥品であり、使用直前に添付の生理食塩水に溶解して0.5mlを皮下注射する。黄熱ワクチンの接種が行われている施設は表1のごとくである。

(3)   安全性情報-1-
歴史的・世界的に非常に副作用の少ない安全性の高いワクチンとして知られている。しかし、2001CDCから、7例の重い副作用(6例が死亡)について2001年ランセットにやはり4例(3例は死亡)の重大な副作用に関する報告がなされている。その臨床症状は、発熱・頭痛・筋痛症・肝機能障害・呼吸不全・意識障害(錯乱)・多臓器不全であった。
<参考文献>
  @Notice to Readers: Fever, jaundice, and multiple organ system failure associated with 17D-derived Yellow Fever   vaccination, 1996-2000. MMWR 50: 643-645, 2001
  A
Michael Martin, Theodore Tsai, Bruce Cropp, Gwong-Jen J Chang et al. Fever and multisystem organ failure associated with
   17D-204 yellow fever vaccination: a report of four cases. a report of four cases. The Lancet. 358: 98-104, 2001

安全性情報-2- トリ白血病ウイルス遺伝子の混入に関して 

(4)   適用
黄熱の汚染地域を有する国に入国するときは、黄熱ワクチンの接種証明書を求められることがある。現在、接種が要求される国の情報は表2のごとくであるが、最新の情報は渡航前に国内の検疫所(表1)に問い合わせるとよい。

最近の黄熱情報:ブラジルでの黄熱流行 WHO/CSR
 ブラジル保健省とWHOアメリカ諸国地域事務局は3月6日までに、Minas Gerais, Rondonia, Goias, Bahiaの4州で合計35人の患者(疑似患者も含む)を報告した。流行の中心は、Minas Geraisで6人の死亡者と5人の患者についてIgM ELISA等で確認されている。現在他の疑似症例についても検査中である。この地域への旅行者にはワクチン接種が勧告されている。

世界の黄熱発生状況(WHO発行Weekly Epidemiological Recordによる)

年次 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
患者数 4336 2712 295 393 1439 974 424 190 303 208 844 550 365 683 124
死亡者数 410 751 102 117 491 247 223 89 117 101

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ウイルス第一部 第2室
2014年2月3日
 更新

高 崎 智 彦