石川 淳 (Ph.D.)

こんにちは :-)
お仕事
放線菌という抗生物質を作るバクテリアの遺伝子を研究しています。
結核や食中毒などの細菌感染症は抗生物質の投与によって治すことができます。
それは抗生物質が病原菌(バクテリア)を殺してしまうからです。でも抗生物質
を作る放線菌も病原菌と同じバクテリアの仲間です。それなのに放線菌はどう
して自分の作る抗生物質で自殺してしまわないのでしょう。それは自分の作る
抗生物質に耐性をもっているからです。これを自己耐性機構といいます。
自己耐性機構には
- 作用部位 (リボゾームなど) の修飾 (メチル化など) による非感受性化
- 不活化酵素による抗生物質の不活性化 (分解、 アセチル化、 リン酸化など)
- 抗生物質の細胞外への能動的な排出
などが知られています。ここで重要なのは、これらの自己耐性機構は臨床で問
題となる薬剤耐性の機構とまったく同じだということです。一説には「(臨床
で問題となる)薬剤耐性菌のもつ耐性遺伝子は、抗生物質の生産菌である放線
菌の自己耐性遺伝子に由来する」と言われるくらいです。私自身この説を100%
信じているわけではありませんが、自己耐性機構を研究すれば研究するほどこ
の説と妙に符合してくるのです。そういった意味で、自己耐性機構の研究は新
しいタイプの耐性菌の出現を予測できるかも知れない可能性を秘めています。
2000年に
Streptomyces avermitilisのゲノムプロジェクトに参加して以来、
すっかりゲノム屋になってしまいました。
当時、バクテリアでは最大のゲノムだったS. avermitilis (9Mb)をやる間に、
Mycoplasma penetrans
(1.3Mb)でゲノムプロジェクトのなんたるかを練習、じゃなくて学習し、
今はNocardia farcinica
(6Mb)をメインに、
日大の上田さんとはNaishobacterium secret:-)や、
東大の大西さんとはStreptomyces griseus (8Mb?)も始めました。
シークエンシングはすべて彼の有名な服部正平先生が率いる
服部工場で行われています。
放線菌のゲノム配列もだいぶ増えてきたので、
今後はゲノム情報を創薬に応用することを考えていきたいと思っています。